―― カーマッチ滋賀守山店と、八つの街に暮らす家族たち ――

家族を乗せる


守山市、田中家の朝

滋賀県守山市。琵琶湖の湖岸から吹く風が、まだ肌寒さを残す三月の朝に街を包んでいた。田中和也は、築十五年のアパートの前で、錆の浮いた自転車の荷台に長女の莉子を乗せようとしていた。莉子は今年、小学校に上がる。ランドセルはすでに買ってある。だが、雨の日に自転車で送るのは限界がある、と和也は前々から感じていた。

和也は三十六歳。妻の美咲と、莉子、そして三歳になる息子の陽翔と四人で暮らしている。以前は乗用車を持っていた。しかし三年前、勤めていた製造業の会社が経営不振に陥り、和也は解雇された。半年間の失業期間中、生活費を賄うために消費者金融からいくつか借り入れをした経緯がある。その返済は今も続いており、信用情報にはいくつかの傷が残っていた。

「お父さん、雨降ってきたよ」

莉子の声に、和也は空を見上げた。灰色の雲が低く垂れ込めている。自転車の荷台に置いた傘を莉子に持たせ、和也はペダルを踏み込んだ。守山駅前を抜け、県道を走りながら、和也は心の中でつぶやいた。

――やっぱり、車がいる。

美咲は現在、パートで栗東市にある物流倉庫で働いている。和也自身も再就職はしたものの、給与は以前より下がっていた。二人の子どもを保育園と小学校に送り迎えし、買い物にも行かなければならない。自転車と徒歩だけでは、家族の生活はどうしても窮屈になる。

だが和也には大きな不安があった。信用情報に延滞の記録が残っている今、果たして自分がまともに自動車ローンを組めるのか。銀行のマイカーローンの窓口で一度断られたことがあった。担当者は言葉を選びながらも、「現在の信用情報の状況では、審査が難しい状態です」と告げた。あの日の、うつむいて謝るしかなかった自分の姿を、和也は今でも思い出す。

その夜、美咲がスマートフォンで何かを検索していた。

「ねえ、これ見て。守山に、自社ローンをやってる中古車屋さんがあるみたい」

美咲が見せた画面には「カーマッチ滋賀守山店」という文字があった。自社ローン、頭金なしでも相談可能、信用回復ローンの取り扱いあり――そうした案内が並んでいた。

「自社ローンって、銀行を通さないやつだよね。でも……大丈夫かな。うまい話には裏があるんじゃ」

和也の言葉に、美咲は頷きながらも「でも、話を聞くだけならタダだし。完全予約制だから、ちゃんと一人ひとり向き合ってくれるお店みたいだよ」と返した。

その晩、二人は迷った末に、カーマッチ滋賀守山店に電話をかけることにした。電話口に出たのは、店長の野中泰充だった。落ち着いた、しかし温かみのある声だった。

「田中様、お電話ありがとうございます。まずはお車のご希望や、現在のご状況を伺えればと思います。当店は完全予約制ですので、他のお客様の目を気にせず、じっくりお話しいただけます」

和也は思い切って、過去の借り入れや延滞の記録があることを正直に伝えた。電話の向こうで、野中は静かにこう答えた。

「ご事情、承知いたしました。当店では、銀行や信販会社の一律の審査基準だけでなく、お客様おひとりおひとりの現在の状況やこれからの見通しを丁寧に伺った上で、柔軟にご案内できる自社ローンや、信用回復を目指す方向けのローンプランもご用意しております。まずは店舗にお越しいただき、直接お話を伺わせてください」

「絶対に通ります」とは、野中は一度も言わなかった。その代わりに「一緒に考えさせてください」という言葉を、和也は強く覚えている。妙な安心感があった。

こうして田中家は、来週末にカーマッチ滋賀守山店を訪れる約束をした。これが、家族が新しい一歩を踏み出す「家族を乗せる日」への、小さな始まりだった。


予約の日、守山の店舗にて

約束の土曜日。田中家は電車とバスを乗り継ぎ、守山市内にあるカーマッチ滋賀守山店を訪れた。完全予約制の店内は、思っていたよりもずっと静かで、落ち着いた雰囲気だった。他の来店客と鉢合わせすることもなく、田中家だけのために用意された時間が流れていた。

出迎えたのは、電話で話した店長の野中泰充だった。四十代半ばと思われる、穏やかな表情の男性だった。

「田中様、本日はお越しいただきありがとうございます。莉子ちゃんと陽翔くんも、ようこそ」

野中は子どもたちにも目線を合わせて挨拶をした。莉子は少し照れながらも、店内に並ぶミニカーのおもちゃに目を輝かせていた。

商談スペースに通されると、野中はまず、田中家がどのような生活をしているのか、どんな場面で車が必要なのかを丁寧に聞き取った。保育園の送り迎え、雨の日の通学、美咲の栗東市への通勤、休日の買い物や通院――一つ一つの生活の場面を具体的にイメージしながら、野中は相槌を打っていた。

「なるほど、送迎や通勤で毎日使われるとなると、燃費や乗り心地も大切ですね。それに、お子様が二人いらっしゃるので、チャイルドシートの取り付けやすさも重要なポイントになります」

野中は決して「これを買うべきです」とは言わなかった。あくまで、田中家の暮らしに合わせて、選択肢を一緒に整理していく姿勢だった。

そして本題である自社ローンの話になった。

「当店の自社ローンは、信販会社を通さずに、当店independentで分割払いのご案内をする仕組みです。そのため、過去に延滞のご経験がある方や、他社での審査に不安をお持ちの方にも、現在のご収入やこれからの生活設計を踏まえて、個別にご相談させていただいております。頭金なしでのご相談も可能ですが、無理のない返済計画を一緒に立てることを何より大切にしています」

和也は思い切って尋ねた。

「正直に言うと、以前銀行のローンで断られたことがあります。それでも……大丈夫でしょうか」

野中は少し間を置いてから、まっすぐに答えた。

「田中様のように、過去にご事情があった方からのご相談は、実はとても多いんです。大切なのは、過去がどうだったかということよりも、今どのような状況で、これからどう返済を続けていけるかということです。もちろん、必ずご希望に沿えるとお約束することはできませんが、一律にお断りするのではなく、まずはしっかりお話を伺い、無理のない形をご提案できるよう努めています」

その言葉に、和也の肩から少し力が抜けた。断られることを覚悟していた分、「一緒に考える」という姿勢が、何よりありがたかった。

美咲も口を開いた。

「実は、信用回復ローンというのも気になっていて。私たち、今もいくつか返済が残っているんです」

野中は頷いた。

「信用回復ローンは、現在返済中の借入れがある方や、これから計画的に信用を積み直していきたいという方に向けたプランです。無理に大きな金額をお貸しするのではなく、まずは今のご家庭の家計に無理のない範囲で、着実に返済を進めていただくことを目指しています。審査に関しては、書類やお話を伺った上で、最終的な可否をご案内させていただく形になります」

「絶対に通る」という言葉ではなく、「一律ではなく、状況に応じて丁寧に」という説明。それは田中家にとって、これまで受けてきたどの金融機関の対応とも違う、実直なものだった。


栗東市、若い夫婦の記憶

商談の合間、野中は田中家に、これまで店が力になれた他の街のお客様の話を少しだけ紹介した。それは押し付けがましい自慢話ではなく、田中家が今抱える不安に寄り添うための、静かな語りだった。

「栗東市にお住まいのご夫婦がいらっしゃいます。ちょうど田中様と同じくらいの年齢で、お子様が生まれたばかりのタイミングでした」

その夫婦は、共働きで栗東市の工業団地近くに住んでいた。夫は物流の仕事、妻は事務の仕事をしていたが、出産を機に妻が一時的に仕事を休むことになり、家計は一気に苦しくなった。以前使っていた軽自動車は年式が古く、修理費もかさむようになっていた。中古車販売店をいくつか回ったが、頭金の準備ができず、どこも難しい顔をされた。

カーマッチ滋賀守山店を訪れたその夫婦は、当初「自社ローンなんて、結局は高い金利を取られるだけなのでは」と半信半疑だったという。しかし野中たちスタッフは、返済シミュレーションを何パターンも一緒に作成し、無理のない月々の支払い額を、夫婦の家計に合わせて具体的に提示した。

「頭金なしでのご相談も可能ですが、その分、月々の返済額と期間のバランスをしっかりご説明することが大切だと考えています」と野中は語る。

結果として、その夫婦は無理のない自社ローンプランで、コンパクトなミニバンを手に入れることができた。今では、赤ちゃんを乗せて栗東市内の小児科や、実家のある草津市まで、安心して移動できるようになったという。

「車が来た日、奥様が涙ぐんでいらっしゃったのを覚えています。『これでやっと、子どもを病院に連れて行くのに、雨の心配をしなくて済む』とおっしゃっていました」

和也はその話を聞きながら、隣に座る美咲と目を合わせた。自分たちの状況と重なる部分が多くあった。


草津市、シングルファーザーの再出発

野中は続けて、草津市に住むある男性の話をした。

その男性は、離婚を経てシングルファーザーとなり、小学生の息子と二人で草津市内のアパートに暮らしていた。以前の結婚生活の中で、生活費のやりくりに苦労し、複数の借入れを重ねてしまった時期があった。離婚後は収入も不安定になり、信用情報にも影響が残っていた。

息子の学校行事や、休日に少しでも遠くへ連れて行ってあげたいという思いはあったが、車がないことで、行動範囲はどうしても限られていた。中古車のオークション情報を自分でインターネットで調べ、安い車両を探そうとしたこともあったが、個人での落札には保証がなく、リスクも大きいと知り、断念した経緯があったという。

カーマッチ滋賀守山店に相談に訪れた際、その男性は「自分のような人間が、まともに車を持てるとは思えない」と、かなり弱気になっていたそうだ。

「そのとき私たちがお伝えしたのは、過去の事情を責めることではなく、これからどう生活を立て直していきたいか、という未来の話でした」と野中は振り返る。

信用回復ローンのプランを利用し、無理のない金額での返済計画を組んだ結果、その男性は状態の良い中古車を手に入れることができた。中古車オークションを通じて仕入れられた質の良い車両を、店舗が自社の目利きで選定し、整備をした上で提供する仕組みも、当店ならではの強みだと野中は説明した。

「今では、毎週末、息子さんと近江八幡や琵琶湖大橋の方まで、ドライブに出かけているそうです。『息子と過ごす時間が増えました』と、先日もお礼のお電話をいただきました」

和也は、その話に静かに耳を傾けながら、自分の子どもたちの顔を思い浮かべていた。莉子と陽翔にも、もっといろんな景色を見せてあげたい――そんな思いが胸に湧き上がってきた。


大津市、祖父母と幼い孫

野中の話は続いた。大津市に住む、ある高齢のご夫婦の話だった。

そのご夫婦は、事情があって幼い孫を引き取り、育てることになった。年金生活の中で、急に子育てをすることになった負担は大きく、経済的にも精神的にも余裕がない状態だった。以前所有していた車は古く、修理を重ねながら乗っていたが、ついに動かなくなってしまった。

「もう歳だから、大きなローンは組めないだろう」と、ご夫婦は半ば諦めていたという。しかし、孫の保育園の送り迎えや、通院のためにはどうしても車が必要だった。

カーマッチ滋賀守山店では、年金収入や現在の生活状況を丁寧にヒアリングした上で、無理のない範囲での自社ローンプランを提案した。頭金なしでのご相談から始め、月々の返済額を年金の受給サイクルに合わせて調整するなど、きめ細やかな対応を行ったという。

「絶対に大丈夫、とは申し上げられません。ですが、お二人の状況に合わせて、できる限りのご提案をさせていただきました」

結果として、ご夫婦は無理のない負担で、小柄で運転しやすいコンパクトカーを手に入れることができた。今では、大津市内はもちろん、時には草津市の大きな公園まで、孫を乗せてドライブに出かけているという。

「先日、おばあさまから『孫が車の中で眠ってしまうくらい、安心して乗ってくれるようになりました』というお言葉をいただきました。その一言に、私たちも救われる思いでした」

野中の声には、単なる営業トークではない、確かな実感がこもっていた。


長浜市、農家の跡継ぎ

北に目を向ければ、長浜市。野中は、農業を営む家庭の話も紹介した。

長浜市で代々続く農家の跡継ぎとなった青年は、実家の農業を継ぐと同時に、収穫物を運ぶための軽トラックと、家族の日常生活のための乗用車、両方を必要としていた。しかし農業の収入は季節によって変動が大きく、金融機関からは「収入が安定していない」という理由で、希望通りの融資を受けられずにいた。

「畑仕事だけでも精一杯なのに、車のことで頭を悩ませるのは正直しんどかった」と、その青年は後に語っていたという。

カーマッチ滋賀守山店では、季節ごとの収入の波を考慮したうえで、繁忙期と閑散期で無理のない返済額を設定するなど、柔軟な自社ローンプランを一緒に組み立てた。中古車販売の実績を活かし、農作業にも耐えうる頑丈な車両を選定したことも、青年から高く評価されたという。

「今では、収穫物を市場まで安定して運べるようになり、家族で長浜の花火大会にも車で出かけられるようになったと、笑顔で話してくださいました」


東近江市、若い夫婦の新生活

東近江市に暮らす、結婚したばかりの若い夫婦の話も、野中は語った。

二人はともに二十代前半で、結婚を機に新生活を始めたばかりだった。貯蓄はまだ少なく、頭金を用意する余裕もなかった。中古車販売店を何軒か回ったが、「若いから」「勤続年数が短いから」という理由で、なかなか希望通りのローンが組めずにいたという。

カーマッチ滋賀守山店では、二人の将来設計――子どもを望んでいること、将来的にはマイホームも考えていること――を丁寧にヒアリングした上で、無理のない自社ローンプランを提案した。頭金なしでのスタートではあったが、月々の返済額を、将来のライフイベントも見据えて設定したという。

「若いお二人だからこそ、これからの人生設計にしっかり寄り添うことが大切だと考えています」

夫婦は今、東近江市の自宅から、休日には甲賀市や湖南市方面へドライブに出かけることも増えたという。


甲賀市、車椅子を必要とする家族

甲賀市に住む家族の話は、野中にとっても特に印象深いものだったという。

その家庭には、車椅子を利用する家族がいた。通院や外出のたびに、大きな負担がかかっていた。福祉車両は高額で、通常の自動車ローンでは対応が難しく、家計にも重くのしかかっていた。

カーマッチ滋賀守山店では、中古車オークションを通じて、状態の良い福祉車両を仕入れ、家族の予算に合わせた自社ローンプランを組み立てた。頭金なしでの相談から始まり、公的な福祉制度との併用についても、可能な範囲でアドバイスを行ったという。

「車椅子のまま乗り降りできる車が来たとき、ご家族全員が涙を流しながら喜んでくださいました。あの光景は、今でも忘れられません」


湖南市、離れて暮らす家族の再会

最後に野中が語ったのは、湖南市に住む女性の話だった。

その女性は、事情があって長年、実家の家族と疎遠になっていた。関係を修復したいという思いはあったが、離れて暮らす家族のもとへ気軽に足を運べる交通手段がなかった。過去の借入れの経験から、車を持つことにも消極的になっていたという。

カーマッチ滋賀守山店では、信用回復ローンを活用し、無理のない返済計画のもとで、女性が中古車を手に入れる手助けをした。

「初めて自分の車で実家に帰った日、玄関先でご家族と何年かぶりに顔を合わせ、抱き合って泣いていらっしゃったそうです。車が、単なる移動手段ではなく、家族の絆をつなぎ直すきっかけになったのだと、私たちも改めて実感しました」

田中家の四人は、これらの話を聞きながら、それぞれの街に暮らす人々の姿を思い浮かべていた。守山市、栗東市、草津市、大津市、長浜市、東近江市、甲賀市、湖南市――滋賀県内の八つの街で、同じように悩み、同じように一歩を踏み出した家族たちがいる。それは、田中家にとって、大きな励みになった。


迷いと、もう一つの現実

商談の帰り道、田中家は電車の中で静かだった。莉子と陽翔は疲れて眠っていたが、和也と美咲の間には、まだ拭いきれない不安が漂っていた。

「本当に大丈夫かな……」

和也がぽつりと呟いた。これまで何度も、期待しては裏切られる経験をしてきた。銀行に断られたときの屈辱、消費者金融からの督促の電話、そして何より、子どもたちに我慢をさせ続けてきたことへの申し訳なさ。野中の言葉には確かに温かみを感じたが、それでも「もし今回も駄目だったら」という恐怖が拭えなかった。

美咲もまた、複雑な思いを抱えていた。

「私も怖いよ。でも……野中さんの話し方、今までのどこの担当者とも違ったよね。『絶対大丈夫』なんて軽々しいことは言わなかった。その代わり、『一緒に考えます』って、ちゃんと私たちの話を聞いてくれた」

その夜、和也は眠れずにいた。過去の失敗が頭をよぎる。会社を解雇されたときのこと、消費者金融の督促状が届いた日のこと、莉子が「お父さん、車どうして無いの?」と無邪気に尋ねてきたときの、胸が締め付けられるような感覚。

翌朝、和也は意を決して、審査に必要な書類――収入証明や、現在の返済状況が分かる資料――を揃え始めた。隠すことなく、ありのままの状況を伝えようと決めた。

数日後、カーマッチ滋賀守山店から連絡があった。野中からだった。

「田中様、書類をお預かりし、社内で検討させていただきました。結論から申し上げますと、田中様の現在のご収入と、これからの返済計画であれば、無理のない形で自社ローンをご案内できると判断いたしました」

電話越しに、和也は言葉が出なかった。

「ただし」と野中は続けた。「無理のない返済を続けていただくために、当初ご希望されていた車種よりも、少し価格を抑えた車両からのスタートをご提案させてください。そのほうが、長く安心して乗り続けていただけると考えています」

それは、和也が想像していた「審査通過」とは少し違う形だった。しかし、その提案には、田中家の生活を本当に考えてくれている誠実さがあった。

「絶対に通ります」という甘い言葉ではなく、「一緒に、無理のない形を見つけましょう」という、地に足のついた言葉。和也はその瞬間、初めて肩の荷が下りたような感覚を覚えた。


家族を乗せる日

契約から二週間後、田中家はついに、カーマッチ滋賀守山店で一台の中古のミニバンを受け取る日を迎えた。中古車オークションを通じて仕入れられ、店舗のスタッフによって丁寧に整備された一台だった。決して新車のような輝きはなかったが、その分、価格は田中家の家計に見合った、無理のないものだった。

その日は、朝から晴れていた。守山の空に、久しぶりに雲一つない青空が広がっていた。

「わあ、お父さんの車だ!」

莉子が歓声を上げ、陽翔もチャイルドシートに座らせてもらいながら、きゃっきゃっと笑い声を上げた。美咲は、運転席に座る和也の横顔を見つめながら、静かに涙をぬぐっていた。

野中をはじめとするスタッフたちが、駐車場まで見送りに出てきた。

「田中様、本日は誠におめでとうございます。これからも、何かお困りのことがあれば、いつでもご相談ください。当店は完全予約制ですので、落ち着いてお話しいただける環境をいつでもご用意しております」

和也は深く頭を下げた。

「本当にありがとうございました。正直、最初は半信半疑でした。でも、野中さんたちが、僕たちの状況をちゃんと理解しようとしてくれたことが、何より嬉しかったです」

車に乗り込み、エンジンをかける。久しぶりに感じる、車の振動と匂い。バックミラー越しに、莉子と陽翔の笑顔が見えた。

その日、田中家は少し遠回りをして、琵琶湖岸をドライブすることにした。守山市から湖岸道路を走り、対岸に見える比良山系を眺めながら、美咲がぽつりと言った。

「これから、いろんなところに行けるね。栗東の児童館も、草津のイオンも、大津の動物園も」

「うん。今度の休みには、長浜の黒壁スクエアにも行ってみようか。それか、東近江や甲賀の方の道の駅も、行ったことなかったよね」

「湖南市の方にも、美味しいパン屋さんがあるらしいよ」

車内には、家族の笑い声と、これからの計画を語り合う声が響いていた。それは、単に一台の車を手に入れたということ以上の意味を持っていた。過去の失敗や苦しかった時期を乗り越え、家族で新しい一歩を踏み出した証だった。

自転車の荷台に子どもを乗せ、雨の中を必死にペダルを漕いでいた、あの朝の和也はもういない。今、彼の隣には、家族全員を乗せて走る一台の車がある。

――家族を乗せる日は、単なる一日の出来事ではなく、これからの日々を支える、新しい始まりの日だった。

滋賀県守山市、栗東市、草津市、大津市、長浜市、東近江市、甲賀市、湖南市。この八つの街には、田中家のように、車を必要としながらも、様々な事情で一歩を踏み出せずにいる家族が、まだたくさんいるかもしれない。

自社ローン、頭金なしでのご相談、信用回復ローン、中古車販売、中古車オークションを活用した質の良い車両の提供――カーマッチ滋賀守山店は、そうした一人ひとりの状況に真摯に向き合い、一律の審査基準だけでは測れない「これから」を、共に考えていくことを大切にしている。

「絶対に通ります」とは言えない。しかし、「一緒に、無理のない道を探します」ということは、いつでも約束できる。それが、カーマッチ滋賀守山店の変わらない姿勢である。

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