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自己破産の誤解を解く!~

2021/12/31

自己破産

自己破産は借金を返済しなくて済むという大きなメリットがある分、デメリットも大きなものがあると考えている人もいるでしょう。たしかに自己破産にはデメリットがありますが、実は深刻に考えられすぎて誤解されていることも少なくありません。

自己破産をするとどうなるのか、身近な人への影響はどうなるのか、解説していきます。

そもそも自己破産とは

自己破産とは、自分が持っている財産や収入では借金が返済できない場合に、裁判所から「支払いができない」と認められたうえ借金を免除してもらう手続きのことです。裁判所が、「支払いが困難である」と認めれば、誰でも自己破産をすることができます。

とくに収入についての制限もありませんので、無職、生活保護を受けている人、主婦であっても自己破産をすることは出来ます。自己破産をすると、借金を返済する義務から免れるので、借入先から督促が届くことはありませんし、電話がかかってくることもありません。自己破産というと、"お金になる財産はすべて取られる"というイメージを持っている方が多くいらっしゃいます。実際には、個人の場合はすべての財産を処分されるわけではありません。

自己破産のデメリット

自己破産は、借金をなくせるという大きなメリットがある一方でもちろんデメリットもあります。

1.ブラックリストに登録される

自己破産を行うと、個人信用情報機関のブラックリストに名前が登録されます。

ブラックリストから名前が削除されるまでに510年程度はかかるため、その間はクレジットカードの利用や新たな借金、ローンを組むことができません。

2.価値ある財産は処分される

自己破産をすると、価値のある財産は換価・処分されるため原則として手元に残しておくことはできません。原則として、20万円以上の財産、99万円以上の現金は処分されます。生活に必要なものは、この限りではありませんが、「お金に換えられるものはお金に換えて借金の返済に充てなさい。」ということです。

3. 職業や資格に制限がかかる

自己破産の手続きを開始すると、免責が決定するまでの36カ月間は一定の職に就くこと、または、資格が制限されます。

4. 官報に載る

官報とは、国が発行する新聞のようなものです。法律、政令、条約の決定事項などが載っています。自己破産をすると、その官報に住所・氏名などが載ります。

ただし、一般の人が官報を見ることはほとんどないでしょう。

5. 高額な費用が必要

自己破産をする場合、多くの資料を準備したり、煩雑な手続きが必要です。専門家ではない、いわゆる素人が自分一人で自己破産の手続きをすることは事実上厳しいでしょう。

そのため通常は、弁護士、または、司法書士に依頼することになります。その費用はおよそ30万~60万円ほどです。

自己破産のよくある誤解

誤解されているイメージの多い自己破産ですが、深刻に捉えられすぎていることも少なくありません。よくある誤解を解きほぐします。

・勤務先から解雇される?

自己破産を理由に勤務先から直ちに解雇されることはありません。

そもそも、勤務先から借入れ等をしていない限り、自己破産したことが会社に伝わることも基本的にはないでしょう。事実が勤務先に知られてしまうこともありません。また、自己破産をすると戸籍に破産の事実が記載されると考える人もいるかもしれませんが、これも誤解です。

・賃貸物件や携帯電話の契約ができなくなる?

自己破産をしたことで、賃貸の契約ができなくなることは基本的にありません。

しかし、ブラックリストに登録されている間は、保証会社の審査に通らないことがあります。

また、割賦購入した本体代金や滞納した通話料金を免責の対象とした場合には契約を解除されることはあります。

ただし、他の携帯会社と契約することや、携帯端末を一括で購入することは可能ですので、携帯電話を使えなくなるということはありません。

パスポートが持てなくなる?

自己破産をしてもパスポートは所持できます。

パスポートに自己破産の情報が記載されることはなく、出入国の審査の際に自己破産について問われることもありません。

保険契約ができなくなる?

保険契約は掛け捨てと積立の保険がありますが、いずれの保険も経済的信用力に重きを置く取引ではないので、あまり影響はないとされています。

家族への影響

・同居する家族全体への影響

自己破産では多くのケースで、持ち家や車など資産価値のある財産は換価されます。

そのため、引っ越しを余儀なくされたり、車がないなど不便な生活をしいられることもあります。

引っ越しに伴い、生活環境やリズムが大きく変わりますので、精神的な負担も考えられます。

家族全体に与える影響は少なからずあると思われますので、事前の説明や家族間の協力が重要です。

・配偶者への影響

ブラックリスト・職業制限・住所制限などは、本人のみが負うもので、配偶者は全く関係がありません。

また、配偶者が保証人でない限り、立替えや請求をされるといった直接的な影響はありません。

・子供への影響

子供に関しても、直接的な影響はないため、学校に普段通り通学することが可能です。

また、就職や結婚にも親の自己破産の事実が影響することは基本的にありません。

・親族への影響

同居・別居の別に関わらず、親族への影響もありません。

もっとも、保証人になっている場合、免責された借金の一括返済を要求されます。

保証人の付いている借金がある場合は、事前に保証人とよく話し合う必要があるほか、場合によっては共に自己破産をすることを検討しなければならないでしょう。

いかがでしょうか。

深刻に捉えられがちな自己破産ですが、思っていたほどの影響が周りに及ぶものではないということがご理解いただけたのではないでしょうか。自己破産は生活を立て直すための、法で認められた手段です。決して引け目を感じる必要はありません。