◆ まだ見ていない景色へ ― 黒部「下の廊下」に心惹かれて ◆

私は58年という時間を生きてきました。
振り返れば、仕事に追われ、離れた家族を思い、
立ち止まる暇もなく走り続けてきた人生だった気がする。

そんな日常のなかでふと立ち止まったとき、気づく瞬間がある。
――まだ、この目で見ていない景色の方が多いんだ、と。

最近、偶然目にした「黒部峡谷・下の廊下」の映像。
断崖に刻まれたその道は、人が一人通るのがやっとという細い一本の線。
片側は荒々しい岩壁、もう片側は深く落ち込む渓谷。
場所によっては足元の幅が数十センチしかなく、
水音が轟く谷底までの高さは、想像するだけで膝が震えそうでした。

時には命を落とす事故が起こるほどの厳しいルートだと知って、
なおさらその光景は胸に迫ってきました。
人間の小ささが際立つ、あの“圧倒的な自然”を前にすると、
言葉では説明できない感情が湧き上がってきます。

僕は登山家ではありません。
特別な経験があるわけでもないし、
行くためにはきちんとした準備が必要なのも分かっています。
それでもあの映像に心を奪われた理由は、
風景の美しさだけではなく、
自分の中に眠っていた“まだ見ぬ世界へ踏み出したい”という願いを呼び起こしたからだと思います。

生きてきた積み重ねがあるからこそ、
人の力では到底太刀打ちできない自然の姿に出会ったとき、
心の奥が静かに震えたのかもしれないDえすね。

人生はきっとまだ続いていきます。
だからこそ、心が動いた風景には、
いつか、安全に、無理なく、
自分なりのペースで辿り着いてみたい。

黒部の下の廊下。
あの厳しく、美しい秘境は、

きっと僕にとって“新しい物語の入口”なのでしょう。

050-3628-7461

営業時間:10:00~19:00 定休日:火曜日

スタッフ一同お待ちしております!