カーマッチマガジン

外気導入と内気循環の正しい使い方

2021/12/10

車のキホン

外気導入と内気循環、2つの機能を持つクルマのエアコンですが、それぞれが推奨される場面が存在することはご存じでしょうか。なんとなく使い分けているものの、両者にはどんな違いがあるのか、どんな時にどちらを遣ったらいいか正しく理解している方は少数なのではないでしょうか。そこで今回は、クルマの外気導入と内気循環を上手く使い分ける方法について、解説していきます。

車内の換気に役立つ「外気導入」

「外気導入」は、言葉の通り、外気を取り入れてくれるモードであり、車内の空気を入れ替えたいときに使用します。外気導入を使うと、車内の温度を外気温に近づけることができますので、外気との温度差(湿度差)が原因で生じる「ガラスの曇り」は取れやすくなります。

外気導入は、真夏の暑い時期にも活躍します。クルマに乗り込んだ時のムッとする暑さから、最も効率的に冷やすには、まず窓を全開にして、A/Cスイッチをオン、同時に外気取り込みにします。車内の温度が下がってきたのを確認出来たら、外気の取り込みをやめて、内気循環にすれば、車内の温度を、効率的に素早く冷やすことができます。

外気導入は「いやな臭い」にも効果的です。食べ物の匂いやたばこのにおい、ペット臭など、他の人にとって不快に感じる臭いが車内にこもっている場合、内気循環では一向に解消されませんが、外気導入にすれば、空気を入れ替えることができます。

また、駐車時にも、外気導入にしておくといい場合があります。カーエアコン始動時に、カビくさい臭いが気になったことはないでしょうか。これは、エアコン装置内に付着した、さまざまなホコリや雑菌などが原因で発生する臭いです。車内の状況が酷くなる前に、エアコンクリーニングをお薦めしますが、少しでも軽減するために、駐車時は「外気導入」にしておくこともひとつの方法です。

外気の臭いが気になる場合は「内気循環」を

内気循環の使いどころは、「外気の環境が悪いとき」です。

例えば、渋滞で大型トラックの排気を受けてしまう位置に停止してしまった場合や、スギ花粉が充満していそうな林を通過するとき、火事などで焦げた匂いが充満している跡地、もしくは家畜が多くいる牧草など、外気を吸いたくないときに使うのがおススメです。

内気循環は、外気の取り入れを制限できますので、エアコンフィルターでは除去しきれないこうした臭いが車内に入ってしまうのを、ある程度防ぎたいときに効果的です。

また、車内の温度を急速に上げたい、もしくは下げたいときなど、内気を循環させた方が、冷暖房効率は上がります。さらに、梅雨時など、外気温が高くかつ湿度も高い場合には、内気の湿度の方が低いので、内気循環とエアコンを併用するとガラスの曇りを予防できます。

基本的には「外気導入」がおすすめ

常に「内気循環」にしていると、車内の二酸化炭素濃度が上昇します。JAFのテストでは、「内気循環」車の方は、「外気導入」車に比べて、CO2濃度が4倍から6倍ほどに増えていたそうです。二酸化炭素の濃度が上昇することで、眠気や軽い頭痛を感じた方もいたそうです。

短い時間であれば問題はないとされていますが、二酸化炭素濃度が上昇するにつれ影響は目に見えて大きくなっていくので、適当なタイミングで換気をするか、外気導入と切り替えながら走るのが無難でしょう。

また、花粉の量に関しては、エアコンフィルターの性能上昇によって外気導入でも車内への侵入はわずかしか認められなかったと発表しています。

本記事では外気導入と内気循環の使い分けについて解説しました。それぞれの特性を理解し、適切な場面で切り替えて外気導入と内気循環を使い分けましょう。